五浪丸 The final challenge

五浪丸の113回医師国家試験への軌跡

外国人が日本で医師になるには

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外国人が日本で医師になるには

本日は「外国人が日本の医師になるには」という事について考えてみたいと思う。

普段病院に行く感覚では、日本には日本人の医者しかいないような錯覚に陥るが

日本の医師国家試験には外国人の方も一定数挑戦しておられる。

言葉の壁や母国医大との受験制度の違いもあってか

国試の合格率は日本人医学生に比べるととても低いのが現状だ。

しかし、海外医学部出身の友人(イギリス、ポーランド、台湾出身など)で

努力の末に日本の医師免許を取得した人を知っているので不可能ではない。

彼らがもつ視点は時にとても斬新で勉強になるし

海外から来た観光客の方々が母国語で診察出来る場所が日本でもっと増えれば

体調不良になってしまった外国人観光客の方も安心であろうと思う。

東京オリンピックも開催されますしね)

 

さて、少し掘り下げて見ていこう。

海外の医学部を卒業してその国で医師免許を取得すると医師になる。

アメリカの医師免許(USMLE step3)やEUの医師免許は

アメリカやヨーロッパ諸国の枠組みを出て

東南アジアやアフリカ大陸の国々でも有効な事が多いようである。

しかし日本では欧米の医師免許を持っていても医師として働く事は難しい。

基本、外国人医師が日本で働くには新たに日本の医師免許を取得する必要がある。

そして、日本の医師免許を取得するには医師国家試験を合格せねばならない。

しかし、海外医学部を出た外国人医師たちには

医師国家試験を受験する「前」段階で更に条件がある。

彼らは「日本語検定N1レベルを取得」した上

尚且つ「医師国家試験の受験許可」を得なくては

日本の医師国家試験を受験することが出来ない決まりになっている。

・・・・・ハードル高杉ぃっ!!

 

日本語検定N1レベル

日本語検定N1レベル?なんやそれは。

日本人なら楽勝やろ(⌒-⌒)ニッコリと思い、少し調べてみた。

国際交流基金と日本国際教育支援協会が共同運営している

日本語能力試験のサイトから申し込み、試験に合格して資格を取得する。

因みに一回の受験料は5500円、試験は年に二回実施される。

参考までにホームページのアドレスを載せておく。

https://www.jlpt.jp/index.html

このホームページ上段の問題例という所から

医師国家試験受験に必要なN1の問題を確認することが出来る。

補足しておくと、N1は日本語検定最難関である。

僕も実際N1の問題を解いてみた。

始めの数問は簡単で「日本人だし、余裕だよねN1」と思っていたが

中盤から後半にかけて長文問題などがあって、案外難しかったりする。

日本人でも満点を取れない人、いそうだなこれは。

 

医師国家試験の受験許可

イギリス人の友人が経験した話からすると、

厚生労働省が直々に「書類選考」と「AdvncedOSCE」

(アドバンストオスキー:大学によって時期は違うが

日本の医学部6年生に課せられる、病院の臨床実習後に実施する

模擬患者さんを前にした実技試験。5年で実施される所もある を行うようだ。

書類選考と言っても、用意したものを郵送したら良いという話ではなく

直接東京まで自分の足で持って行かなければならないらしく

北海道や沖縄に住んでいる人にとっては交通費や宿泊費等大きな出費となる。

AdvancedOSCEも当然日本語で行われるので

たとえ日本語検定N1を取得したからといっても、極限の緊張下の中

すらすらと日本語が出てくるのは相当難しそうだというのは容易に想像がつく。

 

この2つのハードルを越えた猛者達が日本の医師国家試験を受験出来る訳である。

先に述べた日本の医師国家試験に合格したイギリス人の友人に会う機会があって

「大丈夫です。ゴロさんなら、絶対合格するよ。

ボク、ゴロさんと一緒に働けるのを、楽しみに待ってます。」

と励ましのお言葉を頂いた。

国試は日本語で行われる試験であるし、僕が先に合格してイギリス人の彼の合格を

サポートするという図の方が自然なのだが、見事に逆になっている。

でも仕方ない。

自分の不甲斐なさを嘆いても現状は変わらない。

彼は大きな苦労の末に合格を勝ち得たわけで

過程をすっとばして結果だけを羨ましがっても何の意味もない。

尊敬する彼と肩を並べて歩けるように

応援してくれる彼にいつだって感謝を忘れないように

今日も頑張ろうと思います。

まとめ

●外国人受験生の日本医師国家試験合格率は低い

●アジア、アフリカ地域では広く欧米の医師免許が有効

●日本で医師をする上では欧米の医師免許は役に立たない事が多い

●外国人受験生は日本の医師国家試験「前」に更に試験が課せられる

●医師国家試験「前」に課せられる試験は書類審査とAdvancedOSCE

●提出する書類は東京にある厚労省まで自分で持参する必要がある