五浪丸 The final challenge

五浪丸の113回医師国家試験への軌跡

宗教と種無し柿

 

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宗教と種無し柿

昔、宗教に熱心な子と付き合った事があった。

僕はと言えば正月には仏教徒になるし

クリスマスにはキリスト教徒になる

所謂、何でもありの典型的な日本人だ。

自分の信じる以外のものも頭ごなしにけなさず

できるだけ穏やかであってほしいなあ位は考えるが

基本、誰が何教推しでも全然良いと思う。

だからというわけではないけれど

宗教に熱心だったその子

何の宗教をやっていても僕は別に気にならなかった。

その子が信じる何かをとやかく言う権利は僕にないし

特定の宗教に対して何の思い入れも無い僕としては

逆に、盲目的に何かを信じられる事がどこか羨ましくもあった。

 

彼女の素敵だったところは二点ある。

一つは自分の価値観を押しつけてこなかったところだ。

彼女は自分の気合いでどうにかなるのは自分だけで

他人の心は自分の気合いではどうにもならないことを知っていた。

勿論そういう考えが初めから備わっていたものではなく

生きてきた経験則で学んだことなのかも知れないが

それはとても潔く、一緒にいてとても居心地が良かった。

付き合っていた間、宗教に勧誘された事は一度も無かった。

 

二つめの素敵ポイントは

種のある柿は嫌いで

種無し柿は大好きだったところだ。

僕も全く同じだったので

お互いの「共通項」を見つける事が出来て嬉しかった。

しかし話していると筋金入りの種無し柿好きで

有名なブランド種無し柿の名前や形の違い

糖度やそれぞれの大まかな値段などなど

種無し柿好きの僕も余りにガチ過ぎて笑ったのを覚えている。

種無し柿についてあそこまで目を輝かせて話せるのは

あの子をおいて他にいないだろう。

 

一緒に歩んでいく人と末永く上手にやっていくコツは

この「共通項」をいくつ積み上げられるかに

かかっているような気がするのは僕だけだろうか。

種なし柿しか共通項がなかった僕らは

これから先を一緒に歩んで行くには少し繋がりが弱すぎて

結局二,三ヶ月付き合ってすぐに別れてしまった。

でも。

自分の価値観を人に押しつけず

自分の気合いでどうにかなるのは自分だけだという姿勢も

種無し柿に対する熱い熱い情熱も

本当に凄いなーと今でも思っている。

 

種無し柿を食べると今でも時々あの子の事を思い出す。

今も元気かな。

元気だといいな。