あなたがいた夏祭り
あなたがいた夏祭り
あなたが天国に旅立ってもう何年もの月日が過ぎました
変わらず毎年この季節には神社の周りで夜店が並び
幻想的な提灯のぼんやりとしたあかりが
いつもの小道をこの瞬間だけ特別な小道に変えています
あなたの歩幅に合わせて一緒に歩くあの時間は
毎年必ずやってきて
それはずっと続くと思っていたあの頃
沢山の人や愛情がいつも守ってくれていたから
世界は優しくて淡い色をしていたのだと知らなかったあの頃
辛いことも勿論あったけれど
全ての夢は必ず叶うと信じていたあの頃
思い悩む事は、いつも自分のことばかりでした
毎年一緒に歩いた地域の小さなお祭りに
あなたはもういないけれど
昔からずっと変わらないお祭りのあの喧噪と雰囲気に
あなたがいるのではないかとふと錯覚してしまいます
空の抜けるような強い青と白が少し優しくなる夕凪の時刻
うだるような暑さが少しだけ和らぐ夏の夕暮れ時
あなたがお嫁に来て50年以上過ごしたこの町のお祭りが
今年もまた、やってきました
人を想う優しさや穏やかな心の大切さを教えてくれてありがとう
あなたを思い出しながら
一緒に歩いたあのお祭りの小道を
今日は少しだけ歩いてこようと思います