エイズ菌はマキロンで死ぬ
エイズ菌はマキロンで死ぬ
小中学校の頃の友達ともいまだに年に二回程度ではあるが、会う。
小→中→高→大学と進学するにつれ「似通った成績の人間」「同じ学問を勉強する者」が多くなるのは必然であり共通項も多い為(僕で言うと医師友達らと)話をするのはとても面白い。
一方、個性やバックグラウンドの多様さは小中学校の時の友達に軍配が上がる。
学んできた学問という観点では共通項は多くないが話をしていて面白いのはこちらも同様だ。
理屈云々抜きにして、子ども時代を共に過ごした仲間というのは久々に会っても瞬時に小中学生の頃に時間を巻き戻してくれる雰囲気をまとっているから不思議である。
とても心地よくとても温かい。
少し前に小学校時代の友達たちと飲み会をした時、その中の一人トラック野郎(通称デコトラ)に面白い質問をされた。
「五浪丸。ちょっと教えて欲しいんやけどさ。エイズ菌てマキロンで死ぬ?なんか友達に聞いてさ。でもそれならエイズって恐るるに足らずって感じじゃない?」
僕は少し考えた。
エイズって、そもそも菌じゃなくてウイルスでしょ。
もっと細かく言えば「HIVウイルス」であって、エイズというのはHIVに感染した患者さんの身体の中にいるTリンパ球が200/μℓを切った状態で、エイズ指標疾患(ニューモシスチス肺炎とかカポジ肉腫とか)にかかった患者さんの事をいうわけだからなあ。。。
でもそんなこと説明してもなー。「日本語喋れよw」で終わるしなー。
・・・・・。
しかしマキロン。
薬局に普通に売っている市販消毒液。
アルコールが入っているだろうなあ。
HIVウイルスは周囲にエンベロープ(ウイルスの外側を包む膜みたいな)を持っているから、このタイプはアルコール消毒が有効だ。ヘルペスウイルス、B肝ウイルス、インフルエンザウイルスもエンベロープを持っておりアルコール消毒有効なウイルスたちだ。
ということは、、、、直接マキロンをぶっかけたらHIVウイルスは死滅するはず。
・・・・・。
ぐるぐると数秒頭の中で考えたあと「エイズ菌はマキロンで死ぬ」という話は
全くもって間違っているわけでもなさそうなので、友人には
「エイズ菌やけどな、マキロンを直にぶっかけたら死ぬんちゃうかな。
やったことないから多分やけど。理屈では死にそう。」と答えた。
すると「ぅぉぉぉっ!!!!まじかwwwwww
と言ってにこにこ笑いながらビールをぐいっと飲み干した。
「そうやなー。デコトラのとこ、子ども4人もおるもんな。
まだまだ元気じゃないと駄目だしね。」と相槌を打つと
「ああ、近々5人目も生まれるねん。」とデコトラ。
「まじかよwwwwww日本の少子化問題に貢献しまくってるやんwww」
周りの友達たちも5人目のベビー誕生予定に
祝福と共にこの時代に5人兄弟という壮大さに笑った。
「そうやろ。おれが日本の少子化止めるわw五浪丸も早く結婚しろよ。」
「・・・。マキロンでエイズ菌死ぬかもってお答えしたのに突然のキラーパスくるやん?笑」
一同草。
「あとな、体温56℃になるくらいのお風呂に30分ほど入っててもエイズ菌元気なくなるで。まあそんなお湯、熱すぎて入ってられないんだけど」
医師国家試験バイブルであるイヤーノート受け売りの知識もデコトラに披露すると
「ふーん。まじか。ところでさ・・・」と興味無い様子。
折角のイヤーノートの知識披露したのに反応薄すぎワロタw
昔からだけどデコトラは自分の興味あること(今回で言えばマキロンでエイズ菌は死ぬのか。普段ならトラックを壮大にデコる事。)以外は淡白な傾向がある。
そういうとこ変わらないなあ。。。。苦笑
目を閉じれば、小学校の休み時間みたい。
仲良しグループでわいわい話をしたり。
放課後にドッジボールやサッカーをする相談をしたり。
もう戻る事の無いそんな時間を思い出させてくれる。
子ども時代を共に過ごした仲間というのは久々に会っても
瞬時に小中学生の頃に時間を巻き戻してくれる雰囲気をまとっているから不思議である。
それはとても心地よく、とても温かい。